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※こちらのショートストーリは、メルマガ寄稿文に加筆修正をしたものです。

祖国の為、日夜戦う、男たち(ヴァージョン1) 

東洋の魔都・東京。
深夜零時。
妖しげな叫びが、ほうぼうから響いてくる。
すると声々に突然、何か固いものを打つような音が加わった。
小刻みに響く、連続音。
これは一体?
恐怖心が忍び寄る。
が、仕事は仕事である、職務は果たさねばなるまい。
これもひとえに、祖国のため・・・!
私は意を決して、その重い扉を開けた。

暗く、狭い室内には、数名の男どもが蠢いている。
そして中心には、タンバリンを激しく打ち鳴らす上念の姿が!

何と、そこでは、「アニソン縛り、男たちのカラオケ大会」が催されていたのだ。

私は驚愕し、同時にドン引きした。
ここにいるのは、私も含め、皆、40過ぎたオッサンばかりなのだ。
あにそん、とか、あり得ないではないか。
だいたい私は、ジャパニメーションになど全く興味が無い!

が、ビール一杯を飲み干した時点で全てがどうでもよくなり、いつの間にやら男たちと肩を組み、アムロの声マネをしている自分に気付いた。
「哀 戦士」を大合唱する段に至っては、私の両眼から熱いものが溢れてきた。
すごい一体感を感じる・・・!
今までにない何か熱い一体感を・・・!!!

更に、今回のミッションで、私はひとつ、重要な情報を入手した。
何がスゴイって、上念のタンバリンが上手すぎるのである。
もうコレで喰っていけるんじゃねーか、というほどに。
事前に入手していたプロファイリング・データでは、そのような記述は皆無であった。
しかし彼の得技は、あの“滑らか極まる弁舌”と“愛ゆえに当たってしまう予言”のみに止まらなかったのだ!

素直に感動した私は、上念に握手を求めた。
(まさか、このような僻地で、ソウル・メイトに出会えるとは・・・!)
私が涙ながらにその手を握ると、しかし、上念はニヤリと笑い、囁いたのだ。
「海の向こうから、高笑いが聞こえますな」
「・・・え?」
「コミンテルンへの報告、ヨロ♪」
「・・・ええっ・・・?!」

(み、身バレしてたのかあああ)
激しく後悔する私の後ろで、追い打ちをかけるように、さらに上念が叫んだ。
「まさに、近衛内閣末期!!!」

 

さかき

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