prose

背後には常に 

「独裁者」を書いて良かったと思えるのには、人の生の闇の部分を描けたから、という点も非常に大きい。
それら精神世界の深淵を覗くことは、多くの読者にとって決して“快”ではなかったろうと想像する。
過去のさかき漣作品が、ストーリーの根幹を性善説に拠っていたとあれば、なおさらだ。

ちかしい人からは厭世家だと評されるが、なにも一概に世界を、人を、嫌悪しているわけでもない。
おそらく人一倍、性善説を信じたい人間であるからこそ、さらに私は深みに嵌っていくのだと思う。
悲しみと憎しみに満ち満ちているのが現世だ。
幸福は、酷い労力と犠牲の上にしか成り立たない、しかし不幸は、いとも容易く我々をその暗い沼の奥底へ引きずり込む。
餓えた猛犬のように、背後から常に私を責め立てる。

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