prose

囁きあう魔術師の夕べを 

山の天気は変わりやすいので
わたしは 濡れる窓外を眺め続けている

音と光のひとを 思い出す
こことは真逆の匂いのなかにいて
けれども ひどく魅惑な様だった
時の深まるにつれ 閉塞された灰の空間を 鮮やかに塗り替えていくから
それは ある種の魔法 とも 見えたほど

そう
かのひとの手指に 小さな蠍が燃え 煙が立ち昇っていたこと
幾度も 繰り返し 繰り返し……
見詰めるわたしは 密やかに 甘美な迷路に誘われて
いつしか 最奥の庭園まで 足を踏み入れていたのだ

山の 遥かまで潤んだ風 と
街の 表裏の絡み合った呪い(まじない) とを
較べ
わたしには何が相応しい場所なのかと 揺らぎながら
しかし
かのひとから 縦横無尽に繰り出される あの魔法に 触れたいと
とめどなく 憧れている

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