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※こちらのショートストーリは、メルマガ寄稿文に加筆修正をしたものです。

見知った面々との遭遇 

今年も“あの日”がやってくる頃。
そう、あの日とは、凄惨な歴史を持つ忌まわしき日。
一年の内でもクリスマス・イブに次いで最も呪われるべき一日である“2月14日”が着実に近付く頃。
新進気鋭の官能小説専門作家である私(24歳、メタボ男子、大学留年中)は、〆切に追われ今夜も駄作を書き殴っていた・・・。

書き疲れ、いいかげん頭がおかしくなりそうになった私は、おもむろにインターネット・エクスプローラを立ち上げた。
そして何気なく覗いたあるコミュにおいて、「新・無知との遭遇40がうpされてるよ」との書き込みを発見したのだ。

すぐさま、観に行こうと考えた。
が、その直後、実は私は、「39」を見ていないことに気づいた。
即座に私は、割とテクニシャンであるその手指を器用に動かし、「むちとのそうぐう39」で検索する。

・・・出た出た、コイツだな。
今からお前を舐めるように見てやるゼ!

まるで何か違法に○○を見る変態のように、私はひとりごちた。
その寂しいセリフが空中に霧散し切ったところで、私は満を持して、「再生」をクリックした。
すると・・・

画面には、なんや、
一見おもろいと見せかけて、実際おもろいオッサンと、
きっついセリフを吐く、永遠の少年みたいなオッサンと、
眼鏡がずりおちまくってる、なんやドライなオッサンと、
妙にオシャレな白髪頭やけど、やっぱおもろいオッサンが、
次々に出てきたんや!

俺は固まりつつも、まずは初見の感想を口にした。
「・・・つーか全員、俺の知り合いやん・・・!!!」
そう、そこにいたのは、私もかなり見知った面々、藤井先生、中野先生、三橋先生、そして我らがアニキ西田先生だったのだ。
見れば見るほど、このおっさん四人が、めっちゃ縦横無尽に動きまわっとるやないかい!
自由過ぎるわ・・・。

なおも感心していると、ストーリの終盤、やはり見知った顔が登場したのである。
セルフレームの伊達眼鏡、ヒゲの剃り跡も青い、隆々たる男性的容貌、そして・・・「ざまあああぁぁぁ」の声・・・!

「・・・上念先生やん・・・!!!!!」
俺も負けじと、画面に向かい叫んだのだ・・・。

はっきり言って、キャラ掴み過ぎであった。
いや、まさに神回。
あまりに感銘を受けた私は、あろうことか、現在執筆中の「希臘から来たソフィア」(超絶・官能小説)に出てくる、いちキャラクターに、上念のイメージを当てはめて書いてしまう有様であった。
・・・我に返った時点で、軌道修正したのだが。

さて「上念登場!」の一大イベントのおかげで、変なアドレナリンが脳内に大量放出された私は、この後、かなりの枚数を書き進めることができた。
書き上げた文面を眺め、ほっと息をつき、ダイエット・コークを一気飲みする。

立て続けに三本のペットボトルをカラにした私は、しかしここで、ふと気づいたのだ。
『オレ、まだ38を見てない気がするわ・・・』

そして私は「むちとのそうぐう38」を探した。
見つける。
観終わる。
ほんわかする。
そして気づく、『オレ、37を見てない気ぃするわぁ・・・』

以下、同様の行為が延々と続き、作家の夜は不毛に更けていった。
当然の如く、あのウラヤマけしからん“バレンタイン・デー”とやらも、この24才青年をして全くの「どこ吹く風状態」で通り過ぎていったのである。

 

さかき(そう言えば倉山先生もいたような・・・)

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