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※こちらのコラムは、雑誌やメルマガ寄稿文に加筆修正をしたものです。

伊勢うまし国紀行2 

さて、先週の続編です。
取材初日の夕食をがっつり平らげた我々は、その後どうしたかと申しますと。
「こいつら、さぞかし多くの旨い地酒をかっくらったことだろう」、と皆さん思われたかも知れませんが。
ところがどっこい(どうだ、この言葉のセンス!)。
我々は一階ロビー横の売店へ向かったのです。
何故かと言えば、そこにはお伊勢さんや神道、日本の古代神話に関する書籍があまた販売されているからです!
小ぶりの棚に、垂涎モノの本がぎっしりと並んでいます。
普段であれば悩みに悩みまくって、その数十冊の候補の内から泣く泣く2〜3冊を選び、レジに向かうところです。
が、今回は取材、これは仕事。
“取材”という言葉が、まるで錦の御旗ででもあるかの如く、私は誇らしげに20冊弱の本を購入してやったのです!!!
どうだ、我の雄姿たるや如何! 八百万の神々も、とくとご照覧あれ!!!
・・・マジすいません。悪ふざけが過ぎました・・・。

まぁそうは言っても、この私のことですから、本を大人買いする際、気になったお菓子も同時に購入してやりましたよ・・・。
だってこれが、真っ白の粉糖につつまれた、可愛らしいお菓子なんです。
しかも名前が「神宮白石クッキー」。
今これを買わなくて、一体いつ買うんですかー!!!

大漁の獲物を両手に、ほくほく部屋に戻ります。
早速に本のページを繰りながら、思いついては書き、また物思いに耽り、また書き、また本を開き。
そんな無限ループの渦中におった私は、ふと、窓外が気になりました。
神宮会館は市街地に建つものですから、窓から外を覗いても、特段に素敵な景色が広がっている訳でもありません。
しかし、そうは言っても、夜空にぽっかりと浮かぶ秋の月は、やはり美しいのです。
お伊勢さんのお膝元で見上げる、何やら控えめな、白い月。
いい本が書けたらいいなぁ、と、そのとき思いました。
・・・神宮白石クッキーを頬張りながら。

そして翌日の夜明けを迎えました。
今から、待ちに待った早朝参拝に赴くのです。
最高にすがすがしい・・・否、それが、それが、そうではなかったのです・・・!
はっきり言って、二日酔いのおっさんが無理矢理、真冬に町内会の古紙回収に駆り出されたような状態です。
ヒゲも剃らず髪に櫛も通さず、お茶の一杯も飲めぬまま、寝間着の延長線上のジャージ上下で、寒風吹きすさぶ中というのに家を追い出され、すごすごと集合場所である神社の社務所前に向かう、あのおっさんです。
だって、眠いんです!
私は未だ、ギリシアの時差ぼけから立ち直っておらんのです!
頼む、あと30分、イヤ、10分でもいいから寝かせてくれえええぇえ(あくまで心中の叫び)。
まぁそんな感じで、とても神様の御前に進ませて頂く人間とは思えない醜態を晒しながら、それでも何とか身支度を整え、ロビーに向かったのでした。

ロビーには、事前に早朝参拝に申し込んでおいた人々が、多数集まっています。
ここから、幾つかのグループに分かれ、参拝に向かいます。
グループごとに一人、神宮会館のスタッフの方が、専属ガイドについてくださるのです。
神宮会館から一歩外に踏み出すと、早朝の空気の爽やかに気づかされます。
歩き始めてものの数分で、我々は内宮の大鳥居前に着いたのでした。

ここまで内宮、内宮と呼んできましたが、正式には「皇大神宮」といいます。
御祭神は言わずもがな、天照大御神(あまてらすおおみかみ)です。
日本人全体を見守ってくださっている神様であるのは勿論のこと、現在の皇室へ繋がる、日本国の祖たる神様であらせられます。

大鳥居をくぐると、まずは宇治橋を渡ります。
この宇治橋、年間数百万人が渡り、20年に一度の架け替えまでの間、何と日本の総人口と同等、一億二千万人程度の人々が渡る計算になるそうです。
両側にある擬宝珠の説明も受け、ふんふんと聞いておると、続いて来ました、「木除杭」。
ガイドの方が教えてくださいましたので、私もいたく感心して拝見しました。
それにしても、実際に流木をせき止めている光景を目にするとは、コメ欄のお方、非常に貴重な体験をされたことと思います。
大鳥居の木材に関するリサイクルのお話も伺いました。
なんとこの大鳥居、御正殿に使われていた柱が、20年過ごした後に表面を削り直し、宇治橋の大鳥居として再利用され、さらに大鳥居として20年過ごした後は、境内から離れた神宮の要所で鳥居として再利用されるのです。
日本人の叡智の一端を垣間見た気がしました。

さて橋も渡れば、そこは既に厳かな空間、神域です。
通常であれば手水舎で手口を清めるところですが、ここは皇大神宮。
麗しき五十鈴川の水で、自身を浄めるのです。
すがすがしい気持ちが、一気に心中に湧き満ちてきました。
起き抜け時のダメダメおっさんぶりが、まるでウソのようです・・・!

 

さかき(さらに続々編に続きます)

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