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※こちらのコラムは、雑誌やメルマガ寄稿文に加筆修正をしたものです。

靖国の御神楽 

過日、靖国神社の御神楽を拝見する機会がありました。
中秋の名月の一日前、会場から見える月も楽しみにしていたのですが、あいにくとこの日は曇りの天気。
それでは月の見えない分、舞をより堪能しようと考え、靖国に赴きました。

この日の舞は、以下の通り。

一、 みたま慰め二人舞
二、 靖国の舞
三、 榊舞
四、 浦安の舞
五、 人長舞

どれもこれも素晴らしかったのですが、特筆すべきは、靖国の舞が“男舞”であり、その存在感に圧倒されたこと。
笹を用いた前半の舞にも目を奪われましたが、後半の剣舞の迫力は凄かった。
舞人が抜刀した瞬間には、鳥肌が立ちました。(慣用句としての意味合いではなく、本当に鳥肌が立ったのです)

また、浦安の舞には、非常に感動しました。
巫女が持つ鈴が、あくまで静かに細やかに動き、突如、りんと、美しく短く響きます。
その、無音から有音への切り替えが、人の世と神の世の一瞬の交わりを表すようでした。
浦安の舞の歌は、昭和天皇の御製です。

「天地の神にぞいのる朝なぎの
海のごとくに波たたぬ世を」

しめやかに、かつ厳しく心に迫る、御製です。

舞を見終えた後、余韻に浸りながら、本殿へ向かうため廊下に出ます。
昇殿参拝の経験のある方はお分かりになると思いますが、この廊下には壁が無く、戸外と一体となっています。
歩き始めながら、何気なく空を見上げると・・・
なんと雲間から月が顔を見せたのです!
満月の一日前とはいえ、美しく整った、円い月。
辺りには虫の音が鳴り響き、涼やかな風が吹き抜けます。

日本の、凛と麗しい秋の夜を、体感したことでした。

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