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※こちらのコラムは、雑誌やメルマガ寄稿文に加筆修正をしたものです。

大和(やまと)の国の、和らぎ水(やわらぎみず) 

先日、出張で佐賀県を訪れた際、縁あって、地元の企業経営者の皆様ならびに地元の政治家先生と会食させていただきました。
美味しいお食事には、美味しい地酒がつきものです。
さてその際、政治家先生から、とても素敵な言葉を教えて頂きました。
それは“和らぎ水”という言葉です。

帰宅後、「日本酒造組合中央会」様のホームページを拝見したところ、この和らぎ水について説明されていました。
***引用始まり***
『和らぎ水』はカラダにやさしい飲み方です。
水を飲むことで、お酒のアルコール分が下がり、酔いの速度がゆっくりと穏やかになります。
また、お水でひと呼吸置くので、飲み過ぎない点もうれしいですね。
洋酒にもチェイサーという飲み方があるように、日本酒にも水というスタイル、覚えておきましょう。
***引用終わり***

バーでウイスキーなどを注文すると、大抵の場合、チェイサーが付いてきますよね。
チェイサーとは、必要以上に酔ってしまうのを防ぐためや、また、お酒の味を一旦リセットし次のひとくちを美味しく飲むためにある、お水あるいはアルコール度数の低いお酒のことです。
考え方としては、チェイサーと和らぎ水は似通っています。
でも、両者の語感には、随分と違いがあると思いませんか。

チェイサーとは「追いかける者」、つまり、動作の部分に重きを置いて、言葉が成り立ったのでしょう。
対して、和らぎ水は、動作そのものではなく、意味合いに重きを置いていますね。
さらに言えば、追いかける者あるいは追跡者、という語から我々が連想するイメージとは、少々攻撃的なものではないですか?
それに比べて、「和らげる水」と言う語のなんと優しげなこと。

和らぎ水の「和」という字、日本人なら頻繁に目にする字ですね。
つまり、大和(やまと)の「和」ですもの。
ヤマトとは大きな和らぎ、大きな和み。
それが、我々の国の異名のひとつであるとは、とても素敵なことですね。

さらには、この「和」という字に関連して、私が子供の頃に母から教えられた言葉があります。
茶道の世界で頻繁に耳にする言葉、「和敬清寂」というものです。
わけいせいじゃく、と読み、茶道の基本的な心得を示す言葉です。
意味を簡単に申しますと、もてなす亭主と、もてなされる客が、「相手を敬い和らげ、共にいる場を清浄となす」とでも言ったところでしょうか。
お互いに相手への敬意を持ち、お互いが努力して良い空気を作ろうとする、その姿勢を推奨する言葉なのだと思います。

世間では毎日、悲しい事件が起こり、激怒したくなるようなニュースが流され続けています。
不況に増税、TPPやら道州制やら何やかや、現在の日本国には問題が山積です。
政治家の先生方や識者の先生方、その他多くの方が戦い、どうにか良い方向へ世界や国を進めようと、日々厳しい闘争をされている。
「男子家を出ずれば七人の敵あり」、とも聞きます。
しかし現代社会を果敢に戦っている人々にとって、敵は七人どころではないでしょう。
それこそ戦地に旅立つ朝のように、夜明けを迎える日もあるのではないかしら。

だからこそ、せめて気心の知れた人同士や、同じ目的を抱く仲間の間では、和やかで穏やかな空気が保たれて欲しい。
私は常にそのように考えています。
そして、私に似た考えをお持ちの方は、読者の皆様方のうちにも、非常に大きい割合でいらっしゃることと存じます。

我々が生きている時代は、平成の御代。
内平外成かつ地平天成の穏やかな時の流れのうちに、日本が明るい未来へ向かいますように。
そのために、全ての人が、自分にできる小さなことを淡々と、責任感を持って成し遂げていけたらなあ、と考えている、秋の日です。

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