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※こちらのコラムは、雑誌やメルマガ寄稿文に加筆修正をしたものです。

祝日に国旗を揚げる 

世はまさにゴールデンウイーク真っただ中。
新緑は眩しく視界に飛び込み、そのうつろい鮮やかな我らが日本国の四季に於いても、抜きんでて美しい季節、初夏。
かくいう私も勿論、この五月晴れの日々を過度に愛しておる一人です。

ゴールデンウイーク最初の国民の休日は、4月29日の昭和の日です。
この昭和の日、2006年までは「みどりの日」と言ったんですよね。
「みどりの日」の趣旨とは、「国民の祝日に関する法律」に於いては「自然にしたしむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」と記述されていたそうです。
その後、2007年に「国民の祝日に関する法律」が一部改正され、4月29日の祝日は「昭和の日」という名称になりました。
もともと昭和天皇の「天皇誕生日」として長きにわたり大いに親しまれてきた日だったのですから、「みどりの日」と呼ぶよりも、やはり「昭和の日」と呼ぶ方がしっくりくる気が致します。
その趣旨についても、現在の祝日法では、「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」となりました。
読み返すほどに、心に染み入るような、深く厳しい文言だと思います。
“激動”、まさに、昭和天皇の走り抜けられた“生”の一端を、如実に表しているような。

日本国には一年のうちに様々な祝日・記念日があります。
祝日の由来とは、調べてみると趣深いものが多いですよね。
私は昔から「海の記念日」という言葉の響きが好きで、子供の時分には毎年「梅雨が明けるころ、晴れわたる空をお供に連れて、“海の記念日”がやってくる」と、わくわくしていたものです。
そして大人になってから、「海の記念日」の元々の由来を知り、「ますます7月20日が好きになってしまった」という経験を持つのです。

「海の記念日」とは、1995年に制定された国民の祝日の一つ「海の日」の、“前身”に当たります。
現在、「海の日」については祝日法の中で、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」記念日であるとのみ、記述されています。
しかし「海の記念日」の由来、これは明治天皇が遠方への行幸にて無事の航海を遂げられた、この帰港された日がまさに7月20日だったことから、来ているのだそうです。
由来からすれば、この「7月20日」という日付にも、大きな意味があるんですよね。

しかしこの、さかきの愛する「海の日」、現在は何やらおかしなことになっているんです。
つまりその日程が常に7月20日ではなく、毎年、日付が変わるのです。
皆様ご存じの通り、2003年に行われた祝日法改正によって、現在、「海の日は7月の第3月曜日」と定められてしまったワケですね。

この改正によって導入された制度、何とその名も「ハッピー・マンデー制度」・・・。
敢えて独断と偏見で申し上げますが・・・内容以前に名前が軽い、軽すぎる!!!
よりにもよって、“はっぴーまんでー”てぇ?!
まったく、あり得ないほどにセンスが皆無・・・とか思ってしまう私は異端でしょうか?
こーんな“お軽い”名前の制度によって、深い由来ある「海の日」「敬老の日」などの日付が変動させられているなんて、私としては「何だかなー」と感じてしまうのです。

祝日について思いを馳せ、調べ物をするだけで、日本の歴史や文化のおさらいができることもあると言うのに。
こんな素敵なイベントの名称や日付の由来を、モヤっとさせておくなど、何ともったいないことか。
特に、“もの”の本来の呼び名とは、その“もの”に内包される全てを体現しているのだと個人的には思います。
ましてや日本は言霊の国なのですから、なおさら。

しかも祝日とは、別の呼びかたでは「旗日」とも言いますよね。
「はたび」、つまり国旗を揚げる日ですが、今の若者の中には、「旗日」という言葉自体を知らない方もいらっしゃるそうです。

幼い頃、祝日ともなれば、欠かさず自宅の門前に大きな日本国旗を掲揚していたことが思い出されます。
ですから私にとっては、国旗そのものも、また日の丸のデザインについても、至極当たり前の愛すべきものでありました。
例えば「右翼的」だとか「戦争を想起させる」だとか、そういったイデオロギー的なものを微塵も感じたことがなく。
ただ、それは、「祝日が来たら国旗を上げる」という習慣、単なる“日常の一コマ”に過ぎませんでした。
私にとってみれば、「神棚に榊の枝を絶やさない」ということも日常であったように、国旗掲揚も、至って普通の日常だったのです。

しかし祖父母が年を重ねるにつれ、我が家における国旗掲揚の習慣も、徐々に廃れていきました。
寂しいことですが、ちょうど時代の流れのせいもあったのだと思います。

が、さらに時は流れ、現代。
攻撃的でなく、扇情的でなく、あくまで穏やかに日本を愛する、ということが、世に少しずつ浸透しつつあるような。
ごく一般の方がご自宅の玄関に小ぶりの国旗を揚げている、という様を見かけることも時折あります。

さて、近ごろ懇意にさせて頂いている方の中に、アニメーターであり演出家、イラストレーターでもあられる、平松禎史様がいらっしゃいます。
平松先生はネット上のご自身のページにて、「ハタビちゃん」というシリーズを展開されています。
これは毎祝日に、平松さん自らデザインし描いた「ハタビちゃん」キャラクターのイラストがアップされる、というもの。
その日によって登場する人物も景色も違うのだけれど、イラストのどこかに必ず、“日の丸”が登場しているのです。
あくまで私見ですが、この「ハタビちゃん」シリーズが素晴らしいのは、日本国旗と祝日についての再考を穏やかに人々に訴えかけていること、懐かしさと新しさとが混在していること、そして何より、仮に旗日の意義を取っ払ったとしても大いに楽しめるほどクオリティが高い、ということではないでしょうか。

著名クリエイターの方が、このように、日本国旗を作品のモチーフとして自然に取り上げてくださる。
もしかしたら日本国は、素敵な時代を迎えつつあるのかも知れない、とか思ったりもします。

と、ここまで書いてまいりましたが、私、この連休も休みなく仕事ッス。
これほど旗日の重要性を力説しておきながら、自分は故郷にも帰らずひたすら仕事しまくっとるワケですから、親不孝、ひいては“祖国不幸”にもほどがありますわなあ。

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