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人と人との縁は不可思議だからこそ、それを大事にしたいと思う 

過日、『総理』(幻冬舎)という本を頂きました。ご本を頂いて大変に驚きましたのには、この本の中で一部、故・中川昭一先生についても触れられていて、しかもそのご葬儀でのエピソードを書かれてある、ということ。
そうです、以前にもメルマガ寄稿の際にコラムで書いたことがありましたが、実は私もあのとき、中川先生のご葬儀に参列させて頂き、その時の自分の体験を活かして小説『真冬の向日葵』を書いたからです。

幾度お話したか分からないけれど・・・『真冬の向日葵』については本当に悩むことが多かった。
もうあの本が出てから3~4年経つというのに、未だに「全編にわたり書き直したい」との思いを強く、強く抱いているほど。なぜなら、この作品に関して、当時の私では、自分の意向を押し通して書くなどできるはずもなかったから。つまり、あの頃「さかき漣」は今以上に全くの無名作家だったからですね。当然ながら様々な方のご意見を取り入れてストーリーを構築していった結果、自分一人であれば絶対に書かないような“非常に攻撃的な作品”に仕上がってしまった。
通常の私でしたら、あくまで穏やかなストーリーの内に、悲哀と情景の美を書き尽くす創作を為すことでしょう。しかし件の『真冬の向日葵』に於いては、どうも陰謀論的な、言ってみれば「誰かを明確な悪者に設定しての、ショッキングなストーリー展開にて書かざるを得なかった」という当時の事情があり、それが私の中で解消不能のわだかまりとなって残ってしまった、ということ。

『冬ヒマ』は最初、上司からの
「コレキヨの続編で、朝生一郎と女子大生の恋愛物語をラノベ風に書いてください」
という指示があって仕事が始まったものです。しかし私は
「は? それって朝生一郎がロリコンてことスか? つーか淫行スレスレかよ」
(↑あくまで心の声です、暴言を吐き申し訳ありません!)
と内心ドン引きで、そこで元より中川先生のファンであって、そのご葬儀において号泣した身として、
「軽い恋愛を書くのは苦手です。その代わりに、麻生総理と中川先生の友情と、中川先生のご葬儀のシーンを取り入れた、フィクションの悲劇なら書きます」
と進言し、晴れて許可が下りたのです。

しかしながら私は麻生総理や中川先生の政治家としてのご活躍に詳しいわけでもなく、いや、どちらかといえば疎く、ただ単純に「麻生総理と中川先生の、議員バッヂを付けていらっしゃりながら、まるで小学生か中学生の男子が教室で一緒に笑い転げているような、そんな様子のお写真」をネットで見るのが好きで、ただそんな理由でお二方のファンだっただけなのです。
俳優への憧れみたいなものですね。そして、その大好きだった方が急に亡くなられてしまって、本当に哀しかった。だから自分でも何かできることはないか、と、少ない知恵を絞って出した結果が、この“フィクション小説化”だったわけです。

でも前述の通り、自分の好みどおりの創作にはできなかった。だって仕事ですもの、社会人だから当たり前です。
そうはいっても、あの日、中川先生のご葬儀で目の当たりにした光景というのは、これからもずっと私の脳裏に焼き付いていくでしょうし、おそらく生涯忘れることはないでしょう。ですから、あのご葬儀での体験を脚色して、物語に取り入れて世に残せたことを、心より誇りに思っております。

さて、ではもしも“冬ヒマ”を自分の思い通りに書き直して出版できるかと言えば、その可能性は未知数です。これまで五冊を出したとはいえ私はまだまだ無名ですし、果たして書き直した冬ヒマに世の需要があるのかどうか・・・? つまり、もうおそらく、改訂版の出版の可能性は皆無に等しいのだと。
そんなこんなで、私はもうあの光景を書く仕事には携われないだろうと諦めもついていたとき。そんな折にこのご本を頂き、しかもあのご葬儀の裏側で起きていた、胸が締め付けられるようなエピソードが書かれているということで、本当にびっくりしてしまったのです。

縁というのは、つくづく不可思議なものです。
ただ私は、かように巡り来る奇妙とも言うべき事象ひとつひとつに、畏敬の念を抱く。
人間一人ひとりは小さいからね。個々人に見えるものはとても少なく、私たちはみな非力だ。
時は確かに流れ、どの人にも日々着実に、死にゆく瞬間は近づいてくる。

だからこそ私は。
もしも誰かが哀しい思いをしていたら、なかなか悩みの全てを打ち明けられず、人知れず胸を痛めていたとしたら。利害関係や損得勘定を優先せず、やはりその哀しんでいる人の気持ちに沿うことを最優先としたい。もしも自分の前に、酷い目に遭っている人と、酷い悪事を働いている人がいたとして。そんな時、どちらの政治信条がどうだとか、どちらが金持ちだとか貧乏だとか、誰が権力者だとか誰が無力だとか、関係ないよね。とにかく、そのとき哀しい思いをしている人のほうを助けたいと願うだけ。
そう、だから私は。世間体や私利私欲でなく人の気持ちをこそ大事にする方と、これからも懇意にさせて頂けたらと、考えるのです。
sakaki20160811

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